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近角 真平*; 岩本 昭
Physical Review C, 65(6), p.067601_1 - 067601_4, 2002/06
被引用回数:3 パーセンタイル:21.48(Physics, Nuclear)膨張運動する物質内の不安定性及びフラグメンテーションを拡張した周期的境界条件を課した分子動力学(膨張物質モデル)で調べる。膨張物質の満たす状態方程式はその膨張運動のために熱平衡状態のものと異なる性質を持つ。膨張物質モデルは膨張物質の時間発展を行い、その各時刻の圧力,温度などを計算できるモデルであり、膨張運動速度をパラメータにすることでこれらの熱力学的量の膨張速度に対する影響を系統的に調べることができる。特に密度変化に対する温度変化は熱平衡系の液相気相相転移との関係が興味深い。本研究では膨張物質モデルによって温度の密度に対する時間発展を調べるとともに、熱平衡状態の厳密な液相気相共存線をGibbsアンサンブル法を用いて計算している。液相気相共存線は熱平衡においては不安定性の境界である。しかしながら、膨張速度が速い、すなわち熱平衡から離れた状態においては系の不安定領域は異なる境界を持っている。膨張物質モデルの準静的極限では液相気相共存線内で温度が一定になることが確かめられた。これは1次相転移の特徴である。一方、膨張速度が速い場合は膨張に伴う密度揺らぎが共存域に入ってからもしばらく発生せず、系の一様性が維持される。すなわち、膨張運動が系の不安定性を抑制していることがわかる。系の不安定性はフラグメント生成として発現する。フラグメント質量分布は膨張速度と初期温度に依存する。膨張系から生じるフラグメント質量分布はbimodal指数分布になることが知られているが、本研究ではその小数フラグメント部分がパワー則とみなされる可能性に言及している。